会長就任挨拶

風間 信隆(明治大学)

このたび、9月10日から12日まで北海学園大学で開催されました第29回全国大会の新理事会におきまして、次期会長に選任され、その責任の重さを痛感するとともに,学会の発展に向けて,新理事会メンバーと協力しながら全力を挙げて,その責任を果たそうと決意しておるところです。

本学会の「設立趣意書」(1986年9月20日)をもう一度読み返してみますと,現代社会の変貌,とくに大きく進展する技術革新と不確実性を強めるグローバルな経営環境の変化の中で,1)「異種」専門家の交流を通じた学際的・総合的研究,2)理論と実践の緊密な相互作用(産学交流)を通して「革新的工業経営の研究とその研究成果の普及」のプラットフォームづくりを目指していたことを確認することができます。この点で,我々の学会は今日ますます大きな意義を持つ存在であるとともに,我が国における工業経営の実践と研究の最前線で時代をリードしていく社会的使命を果たしていかねばならないと考えております。

今日,いわゆる「失われた20年」とも呼ばれる日本経済の深刻なデフレグローバルなレベルでのコスト削減競争の激化,「円高」に伴う生産拠点の海外移転と国内空洞化の中で,これまでの日本企業,とくに製造業のモノづくりのあり方に根本的な疑問が投げ掛けられているようにも思われます。「少子高齢社会」,製造業のグローバル化と海外移転,新興国の台頭,地球環境問題の深刻化といった大きな構造的転換の下で,我が国の高度経済成長をリードしてきたモノづくりの再生が大きな課題と認識され,「日本的経営」のあり方についての再検討も求められております。そこで3年間の本学会の統一論題のテーマとして「モノづくりの革新と工業経営研究の課題‐日本の再生‐」というテーマを掲げ,日本のモノづくりの革新(イノベーション)の活性化に向けた諸課題を巡って活発な議論を行い,その成果を社会に発信していきたいと考えております。しかし,これは決して単なる経済的な尺度での「量的成長」を目指すものではなく,地球環境問題の克服,再生可能エネルギーの推進,社会的格差の是正等の社会的課題の克服を目指す「質的成長」を伴うものでなければならないとも思います。現在,工業経営研究に求められている「モノづくりの再生と革新」にいかなる挑戦的課題があり,これをいかにして克服・実現できるかについて,活発な学際的研究と産学交流を通して時代をリードする知の創造を目指していきたいと考えております。

私は2006年から野村重信会長,さらに2009年からは貫 隆夫会長の下でそれぞれ副会長を務めさせて頂くとともに,2011年からは羽石寛寿会長の下で学会監事を3年間務めさせて頂く中で,本学会の社会的意義と役割を確信してまいりました。これまでの路線を引き継ぐとともに、新しい風を吹き込むことが私ならびに新理事そして新事務局の課題でもあると考えております。前理事会で進められてきた学会誌の年2回の刊行の具体化は第10期理事会の最大の課題と考えており,何よりも最優先に,この課題に取り組んでいく所存です。また,本学会は1986年に設立されて30周年を迎えようとしておりますが,その記念出版事業の具体化も急がなければなりません。さらに「高齢社会」の影響は本学会所属の会員の年齢構成にも影響を及ぼしており,ご定年を迎えられ,常勤の仕事をご退職される会員の方々の活力を引き続き学会活動に生かして頂くことは本学会の発展にとって極めて重要な課題と認識しております。まだ理事会内で結論を得ているわけではありませんが,第10期理事会において「シニア会員」制度の導入に向けて検討を急ぎ,具体化を図る所存です。さらに「工業経営研究学会」の運営について健全な運営と魅力ある学会を維持するために、法人(企業人)会員の増大、若手会員の増大、地方部会の活性化、産学共同研究の充実にも引き続き取り組んでいく所存です。

これらの事を心にとめて、微力ではありますが新理事の皆さんと共に協力し合いながら学会発展のために全力を尽力する所存です。会員の皆様のご支援とご協力を衷心よりお願い申し上げます

10月 8th, 2014  in 未分類