会長就任挨拶

中瀬 哲史(大阪公立大学)

 工業経営研究学会第12期会長をおつとめされた、北海学園大学大平義隆先生の後を継いで、この度、第13期会長を拝命いたしました私は、大阪公立大学に勤務します中瀬哲史と申します。歴史ある工業経営研究学会会長ということで、大変光栄に感じるとともに、かなりの重圧を感じております。

 さて、まだまだ社会的には大変ではありますが、コロナ禍からは立ち直りつつある状況です。そうした動きを受け、社会的な活動が、コロナ禍並みか、それ以上に活発になっています。そうした中で、私たち工業経営研究学会の活動は、ますます重要になっているように考えています。

 と申しますのも、何よりも、私ども工業経営研究学会の主たる研究対象である製造業、いわゆるモノづくりは、日本の国づくり、そして地域づくりに、しかも今後の発展にとって不可欠だと考えるからです。製造業(モノづくり)の占める割合は雇用の確保、経済発展等において量的にも、内容的にも重要であるからです。

 私は、大阪府東大阪市の出身です。東大阪市は1967(昭和42)年に布施市、河内市、枚岡市が合併して誕生しましたが、私は3市合併前の1963(昭和38)年に旧布施市衣摺(きずり)で生まれ、大阪市立大学4回生時に奈良県生駒市に家族で引っ越しするまで当地にいました。当地は、現在の「モノづくりのまち」東大阪にもつながる地域で、私の自宅の隣には父方の祖父母、叔父さん家族が住み、その叔父さんはすぐ横に工場(こうば)をもって昆布屋さんの箱を作っていました。私の自宅の近所にはねじをつくっている自宅兼工場がありました。このように近所には住宅地が広がっていましたが、中小零細企業も混在していて、モノづくりの音が響くにぎやかなで、おもしろいところでした。残念ながら現在はかなり静かな住宅地となっているようです。

 少し郷愁もありますが、それでも日本は縮小しつつあるとはいえ、製造業(ものづくり)の基盤をヴァージョンを上げながらも持ち続けており、この利点を生かすことが重要だと考えます。そして私ども工業経営研究学会は我が国のみならず、ひいては世界の有するモノづくりの状況に深くかかわってきましたし、これからも関わっていきたいと考えます。そこに私は本学会のおもしろさを感じています。

 以上のような思いから、これからの3年間においては、改めてモノづくりの現場に出かけ、その現場で議論して行きたい、その際モノづくりの最近の動きであるDX、GXとも真正面から取り組んでみたい、と考えています。さしずめ「新たな動きを示すモノづくり現場との“格闘”」というところでしょうか。

 私は、モノづくりについてまだまだ学ばなければならないレベルではありますが、この工業経営研究学会を、大変優秀で頼もしい理事、幹事、委員の皆さま、そして会員の皆さまとともに、今以上におもしろいものにして、モノづくりを通じて、日本、世界に対して貢献していくことができればと思います。3年間、どうぞよろしくお願いいたします。